ギターやボーカルにまつわる雑学のページ
パーカッション
16世紀初頭の画家ヒエロニムス・ボッシュの作品のなかには楽器がよく出てくる。ハープのような弦楽器が天使の楽器だとすれば、ドラムなどの打楽器は悪魔の楽器という表現になっている。例えば人を閉じ込めておいた大太鼓を叩く悪魔が描かれていたりする。こうした西欧キリスト教の伝統は、クラシックのオーケストラの構成にまで影響及ぼしているといえる。だから逆に打楽器は民族音楽やサブカルチャーの重要な表現手段でもあるといえるのだ。打楽器は、noiseをコントロールし、リズムとして表現する道具だ。
リズムは人々の体の動きを誘い、あるいは高揚させ、またあるときは恍惚にする。それだけ身体への作用は大きく、多くのアルカイックな社会で打楽器は宗教的儀礼と結びついた。近代社会も打楽器は、軍事やコミュニケーションなどすぐれて実用的な機能持ち続けてきた。ロックでの打楽器の広がりは大きい。ミッキー・ハートのようにロックと民族音楽のリズムの融合の試みから、ラップ、ヒップホップでのターンテーブルのリズム楽器まで、またゼフのように工業化された都市の金属音の表現からリズムボックスやサンプリング用いながらパレスチナのリズムにこだわるムスリムガウゼまでパーカッションの広がりは、ロックの壁をやすやすと越えている。
テナーサックス
サックスには、バリトン、あると、ソプラノ等各種あるが、ロックンロールの時代に入ってから最も頻繁に利用されたのがテナーサックスである。テナーサックスは、1955年から63年にかけてロック演奏における重要な楽器の1つだった。
つまりビートルズが出現し、ギターアンサンブルしたいのサウンドが主流となってしまうまで、様々なロックンロールレコードでその音色を聴くことができる。
演奏スタイルにはおよそ2つのパターンがある第一にニールセンセダカの「おおキャロル」で吹かれているような、エレクトリックギター同様のリズム隊の1つとしてブローされるスタイル。第二にリトルエヴァの「ロコモーション」のようなサウンドの厚みを増大させるための楽曲コード進行にとって直線的につきまとうスタイル。他に作品の準主役となってmelody LINEを低くインストグループの演奏もロックンロールにおけるこの楽器の重要性を伺わせる。1964年以降はデイブクラークや70年代のローリングストーンズにおけるボビーキース、Eストリートバンドのクラレンス・クレモンズ等にこれらRock'n'Rollサックスの伝統を垣間見ることができる。なおリズム&ブルースではサックスを含む管楽器全般がいっそう重要となる。
ピアノ
ピアノにはグランドピアノ、19世紀以降庶民のあいだに普及したため使われた縦型のアップライトピアノ、さらにその背を縮めよりコンパクトにしたスピネット・ピアノなどがある。ロックのレコーディングでは通常のグランドピアノが疲れるが、ウォール・オブ・サウンドで有名なフィルスペクターのように特殊効果を願って小型を使うこともある。ロックのピアノスタイルも現在では多岐に渡っている。が、この源流は20年代に黒人ピアニストの間で流行したBoogie-Woogieにあることは間違いない。左手でオクターブの8オクターブ8分音符を刻みながらしくブルースピアノのスタイルは、リチャードティーやニューオリンズのピアニスト達のルーツである。ロックンロールが流行し、ロックの原型が生まれた50年代からはファッツドミノやリッキーリージョーンズといった、軽快なスタイルのピアノが惹かれるようになる。その後ロックの多様化によってキースエマーソンのように近、現代音楽を消化した奏法や、バラード曲やプログレッシブ・ロックに見られるほとんどのクラシックピアノのスタイルと同じ奏法なども定着した。近年では他の電気楽器の大音量化や、PAの巨大化などによりライブではシンセのピアノの音や音源モジュールなど代用されるようなってきており寂しいところだ。